自宅でエクササイズ

伊賀市立上野総合市民病院
リハビリテーション課 理学療法士 猪田 茂生

自宅でエクササイズ ~動ける身体を維持して乗り切ろう~

2020年5月

現在、世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス。

感染拡大防止につながる 3 密(密閉・密集・密接)を防ぐとともに、外出自粛の動きが活発化しています。

外出自粛は、感染を防止し、自分や大切な人の命を守るために必要ですが、家にいて何もしないと、いわゆる運動不足になります。

身体は硬くなり、筋力は衰え、動き続ける体力はなくなってしまいます。 それを少しでも防いでいただきたいとの願いを込めて、外出自粛中に自宅でできる運動をお伝えしたいと思います。

動ける身体を維持して、この難局を乗り切りましょう!

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運動を行う上での注意点

  1. 大きな病気・ケガをした経験がある方や運動で強い痛みが出たことがある方は、できない運動を無理にしないでください。できない運動は、とばしてもらっても結構です。
  2. 実施前に、発熱、咳、はき気、だるさ、めまい、動悸、強い痛みなどの症状がないかを確認していただき、症状があれば中止してください。
  3. 転倒を防ぐため、立って行う運動の時、片足で立てない方は、手すりを持つ、あるいはすぐに持てる状態で実施しましょう。
  4. 息を止めずに実施してください。力を入れる時や身体を伸ばす時に 息をはくようにしましょう。
  5. 急激に動かすことで関節や筋肉を傷めることがあります。反動をつけず、ゆっくりとした動きで実施しましょう。
  6. 1 つの運動につき5回程度の少ない回数から始め、次の日に痛みや強い疲労感が残らなければもう少し回数を増やし、1 つの運動を20回程度実施してみましょう。
  7. 運動したら、水分を補給するともに、バランスの良い食事と適度な睡眠をとりましょう。
  8. 周りに人がいない時間や場所を選んで、散歩やジョギングをしましょう。
    ※自粛要請の解除に合わせて徐々に実施してください。

運動① 肩甲骨周囲の筋肉のリラクゼーション

自宅でエクササイズ【方法】

骨盤を起こして真っ直ぐ座り、腕をだらりとおろしたまま、 肩そのものを後ろに回す。片側ずつ実施。

【注意点】

肩を動かそうとすると・・・
× 肘を強く曲げてしまう。
× 手を握りしめている。
× 上半身が一緒に動いてしまう。
○ 良い姿勢を保ったまま、肩のみを回し、他は動かない。

肩~背中がほぐれるように実施しましょう!

運動② 肩・胸部・背中周りの筋肉のストレッチング

自宅でエクササイズ【方法】

背中を真っすぐにして座る。頭の後ろで手を組み、背中を反らせて、胸を開き、両肘を開き、その位置で3 秒止める。その後、腕をいったん降ろして休める。これを繰り返す。

【注意】

肩に強い痛みがある場合は、無理に開かないでください。

肩~背中、胸のまわりが伸びるように実施しましょう!

運動③
肩周囲・体幹 胴体 の筋肉のストレッチング+呼吸機能改善運動

自宅でエクササイズ【方法】

背中を伸ばした姿勢で座った状態になる。お腹の前で手を組み、手を組んだまま、大きく息を吸いながら伸びをするように腕を天井に向かって真っすぐ伸ばす。上までしっかり伸ばしたら、息をはきながら腕を下に降ろして脱力する。これを繰り返す。

【注意点】

身体を反らして、組んだ手を後ろに上げないように、真上に向かって伸ばしましょう。

肩~背中、胸のまわりが伸びるように実施しましょう!

運動④ 膝~ふくらはぎ の筋肉のストレッチング

自宅でエクササイズ【方法】

背中を真っすぐに伸ばして座る。足首をそらしながら、膝を完全に伸ばして5 秒間止める。その後に力を抜いて、足を床に降ろす。これを左右交互に行う。

【注意点】

膝をできるだけ真っすぐに伸ばす。ただし、太ももの裏が椅子の座面から浮かないようにしましょう。膝を伸ばした時に上体が後ろに倒れないように真っすぐ保ったまま実施しましょう。

太ももの前に力が入り、
太ももの後ろから ふくらはぎ が伸びるように 実施しましょう!

運動⑤ スクワットしゃがみこみによる両脚の筋力強化

自宅でエクササイズ【方法】

立った状態から、背中を丸めずに真っすぐ保ったまま、お尻を後ろに引きながらしゃがみ、3 秒間止め、また立ちます。これを繰り返す。

【注意点】

腰を深く沈めると負荷が増加します。少し膝を曲げる程度から始めましょう。息を止めずに行いましょう。転倒しそうな場合は、丈夫な机や手すり付近で行いましょう。負荷が大きな場合は、椅子からの立ち座りの練習でも結構です。

お尻と太ももの前に力が入るように実施しましょう!

運動⑥ 片脚立ち 前後への脚あげによる筋力とバランスの強化

自宅でエクササイズ

【方法】

立った状態で、膝をまげながら、足を前に持ち上げて3 秒間止める。
次に、持ち上げた足を降ろさずに、膝を伸ばしたまま、外後ろに持ち上げて3 秒間止める。
その後、持ち上げた足をいったん床に降ろす。

右足を前→右足を後ろ→足を降ろす→左足を前→左足を後ろ→足を降ろす  の順に実施。

 

【注意点】

転倒に注意してください。ふらつく場合は、手すりや机にもたれて行いましょう。

立っている方の脚全体と挙げている側の股関節周りに力が入るように実施しましょう! 

 

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