上野総合市民病院だより

 上野総合市民病院では、医療技術部として薬剤課、栄養管理課、臨床検査課、リハビリテーション課、放射線技術課、臨床工学課の6部門が設置され、医師や看護師と連携し、チーム医療に取り組んでいます。このコーナーでは、各部門の活動を紹介します。

伊賀・名張薬剤師合同事例検討会の紹介

2024/3

伊賀・名張薬剤師合同事例検討会の取り組みについて

当院薬剤課では、通院患者さんの体調管理を薬局の薬剤師と連携してサポートするため、毎月1回、(一社)伊賀薬剤師会(伊賀市、名張市の薬局などに勤務する薬剤師で構成する法人)と情報交換を行う「薬薬連携」に取り組んできました。

今年度は、伊賀地域の病院で勤務する薬剤師と保険薬局で勤務する薬剤師が一緒になって事例を検討したり、意見交換を行う場として、伊賀・名張薬剤師合同事例検討会を開催しました。

昨年12月には、当院から心不全のしおりを活用して、患者さんが自分自身で血圧や体重、水分摂取量の管理ができるよう手助けをし、心不全の増悪による再入院を防ぐための取り組み内容を発表しました。

昨年12月には、当院から心不全のしおりを活用して、患者さんが自分自身で血圧や体重、水分摂取量の管理ができるよう手助けをし、心不全の増悪による再入院を防ぐための取り組み内容を発表しました。

参加した薬剤師からは、早期からの血圧コントロールの重要性について新たな知識が得られたといった声があり、とても有意義な取り組みになりました。

これからも継続的に実施し、病院の薬剤師と保険薬局の薬剤師がお互いにレベルアップを図り、連携して患者の皆さんによりよいサポートができるよう努めていきます。

(薬剤課 小澤 一夫)

在宅支援チームの紹介

2024/2

在宅支援チームの取り組みについて

急速な核家族化により、高齢夫婦のみや一人暮らしの世帯が多くなっています。このため入院中の患者さんが在宅への復帰を希望しても、身体機能や動作能力が十分ではない場合や、家族の支援や福祉サービスが十分受けられないため、施設入所を余儀なくされることがあります。

当院では在宅復帰をめざす患者さんに対し、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床工学技士、社会福祉士、理学療法士で構成した在宅支援チームがサポートを行っています。

チームは定例の症例検討に加え、特に退院支援の必要度が高い患者さんについては臨時の検討会を開催しています。地域包括ケア病棟に入院中の在宅復帰を希望する患者さんを中心に、患者さんや家族からの聞き取り内容を踏まえて、自宅で生活できるよう各スタッフが把握している情報を交換し、課題の解決に向けた話し合いをしています。それをもとに各職種が退院後を見据えた支援を行い、在宅復帰を円滑に進められるようにしています。また、在宅復帰で終わりではなく、退院後も安心して生活していただける支援を心がけています。

在宅復帰に向けて、ご希望やお困りごとなどがありましたら遠慮なくご相談ください。今後も一人でも多くの入院患者さんが在宅復帰できるよう、チームとして研鑽(けんさん)に努めていきます。

(リハビリテーション課  西川 龍)

救急カンファレンスチームの紹介

2024/1

救急カンファレンスチームの取り組みについて

救急外来における診断は、患者さんの訴えや身体所見に加え、採血、心電図などの検査結果やX線写真、CT、MRI、超音波検査などの画像診断を組み合わせて総合的に行います。通常の外来診察と違う点は、患者さんの訴えを聴き取るのが難しい場合があること、疾患が多岐にわたること、さらに緊急対応が必要で時間的に制約される疾患が多いことなどが挙げられます。

迅速かつ的確な対応が求められることから、当院では救急カンファレンスチームを結成し、日々の救急患者の症例について月2回の症例検討会を行っています。さらに今年度から新たな取り組みとして、救急で頻度の高い疾患の病態の把握や、必要な検査や治療の知識を共有するため、医師、看護師、薬剤師、診療放射線技師、臨床工学技師、臨床検査技師、理学療法士などが参加する勉強会を開催し、各専門分野の知識と経験を元に総合的な検討を重ねています。

これらの取り組みにより、一人ひとりの患者さんに対して必要とされる検査や処置の把握が円滑となり、初期治療への準備と開始がより速やかに行われることが期待されます。

救急医療のさらなる充実に向けて引き続き研鑽(けんさん)を重ねていきます。

(放射線技術課 後藤 末成)

地域医療連携室の紹介

2023/12

レスパイトケアでリフレッシュを

皆さんはレスパイトケア入院を知っていますか?レスパイトとは、“休息・息抜き“という意味です。在宅で介護を担っている家族などが日々の介護に疲れを感じ、介護力の限界を超え、介護不能となることを予防するための入院をレスパイトケア入院といいます。

当院では、介護者の休息のほか、病気、入院、出産、冠婚葬祭、旅行などで一時的に在宅介護が困難になる場合に家族などを支援するため、また在宅医療を支えるため、地域包括ケア病棟でレスパイトケア入院を受け入れています。

ショートステイとは異なり、病状は安定しているものの在宅で医療機器などを使用している人、何らかの医療的処置を要する人など、常時の介助を必要とする人が対象となります。

まずはかかりつけ医やケアマネジャー、訪問看護師を通じてご相談ください。当院で対応可能となれば「レスパイトケア入院申込書」と必要書類を地域医療連携室までファックスまたは郵送してください。

入院可能な場合は当院から申込者へ連絡し、入院期間などについてご相談させていただきます。詳しくは地域医療連携室までお問い合わせください。

【問い合わせ】
地域医療連携室
TEL24-1111(代表) FAX41-0068

消化器チームの紹介

2023/11

消化器チームの取り組みについて

皆さんは、消化器とはどういった臓器なのか、また病気になるとどのような症状が起こるかご存知ですか?消化器には、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸といった食物が流れる臓器だけでなく、胆嚢(たんのう)、肝臓、膵(すい)臓なども含まれます。これらの臓器に不調が起こると、腹痛や嘔吐(おうと)、膨満感(お腹の張り)、食欲不振、下痢、下血、便秘などの症状が起こります。

皆さんもこのような症状は経験されたことがあると思います。もちろんすべてが大きな病気というわけではありませんが、頻繁に起こる場合やなかなか治らない場合は注意が必要です。

2019年の全国がん罹(り)患数は、大腸がんが一番多く、特に女性の大腸がんは年々増加しています。

このような状況から、当院では、医師をはじめ看護師、薬剤師、管理栄養士、放射線技師、臨床工学技師、臨床検査技師で消化器チームを編成し、さまざまな職種で多方向からの意見交換を行い、患者さんに対してできること考え活動しています。具体的には、入院や治療だけでなく、退院後も安心して生活ができるように、本人や家族の意向、家庭環境などの周囲の状況、それらを踏まえたうえでのQOL(キューオーエル)(生活の質)を考えることで、退院後のQOLの維持にも努めています。

また、消化器病センターを設置し、各専門職を講師として研修会も行い、チームのスキルアップ向上にも努めています。不安なこと、気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

(臨床検査課 笠原 祐紀)

整形外科疾患チームの紹介

2023/10

整形外科疾患チームの取り組みについて

当院では、整形外科疾患の患者さんに対して整形外科疾患チームが治療とケアに当たっています。

チーム医療では、一人ひとりの患者さんに対して、複数の職種の医療スタッフが連携して治療やケアに当たります。

整形外科疾患チームは、医師・看護師・薬剤師・理学療法士・診療放射線技師・臨床検査技師・管理栄養士・臨床工学技士・社会福祉士で構成され、月2~3回のカンファレンスを実施しています。

骨折などの疾患では、手術前や手術直後から患者情報を各職種で共有することで、術後早期のリハビリ、栄養指導、痛み軽減に向けた介入等につなげています。また、早期退院に向け、病棟で行えるリハビリの方法を理学療法士から病棟看護師に伝え、病棟でのリハビリの質の向上に努めています。1部門だけでは、ケアやリハビリ方法に迷うこともありますが、多職種の意見を集約することで、より質の高い医療(既存疾患の早期発見・回復促進・重症化予防など)を提供することができます。
また、年に2回、チームの活動内容を院内のスタッフに共有するための研修会を実施し、病院全体の医療の質の向上に努めています。

チームで深く症例を検討し、問題解決を図ることで、これまで以上にそれぞれの患者さんに応じた治療やリハビリ、看護を提供できるようになっています。
今後もチーム活動の一層のレベル向上に努めます。

誤嚥性肺炎対策チームの紹介

2023/9

誤嚥(ごえん)性肺炎対策チームの取り組みについて

誤嚥性肺炎とは、飲み込む力や咳をする力が低下することにより、食べ物や唾液などが誤って気道に入り、それらに含まれる細菌によって引き起こされる肺炎のことです。なかでも高齢者や要介護状態の場合は、体力や筋力の低下、栄養不足や口腔内の汚れなどが原因でかかりやすく、肺炎を繰り返すと命の危険があることもわかっています。そのため、誤嚥性肺炎には予防や対策が大切です。

当院では医師、看護師、歯科衛生士、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、言語聴覚士など専門職が、原因について話し合いながら取り組んでいます。

具体的には、唾液や咽頭(のど)に潜む細菌を減らすために、舌や歯を清潔に保つための口腔ケアの強化や、体の抵抗力を高めるよう飲み込む機能に応じた食事内容の調整や栄養ケアを行います。あわせて、誤嚥したものを反射的に吐き出す力を高めるよう、食べる姿勢、喉や口周囲のマッサージなどの支援を行ったり、服用中の薬の影響や調整の検討も行っています。

なお、退院時には、ご家族へは在宅での予防に向けたアドバイスを、入所施設へは入院中の経過についての情報提供を行っています。

(3階病棟看護師 渡瀬 智愛)

心不全チームの紹介

2023/8

心不全チームの取り組み

 皆さんは心不全になるとどういった症状が現れるかご存じですか?

 心不全は心臓の病気です。一般的な初期症状としては、息切れ、むくみ、だるさや疲労感があります。それを放置すると、だんだん悪化し、入退院を繰り返し、生命を縮めることになります。

 日本では高齢者を中心に、心不全の患者さんが急増しています。増加している第一の原因は、超高齢社会になったことだと言われています。団塊の世代が全員75歳以上となる2025年には、さらに増加すると考えられています。

 このような現状から当院では、医師をはじめ、看護師、薬剤師、栄養士など、さまざまな職種で心不全チームをつくり、入院患者さんの再入院予防に取り組んでいます。予防対策として、体重の変化や足のむくみといった身体の変化、服薬状況、塩分の摂取状況、日常生活での活動の変化などの情報をメンバー全員で共有し、対応を検討することによって最適な療養指導につなげています。メンバーは、心不全療養指導士の資格を取得するなど、常に専門性の向上に努めています。

 また心不全チームは、患者さんが退院後に日常生活で困っていることや、患者さんの家族や介助者が抱える問題についても話し合い、介護保険で利用できるサービスの提案なども行なっています。いつでも遠慮なくご相談ください。

(臨床工学課 中村 泰大)

がん化学療法・緩和ケアチームの紹介

2023/7

チームとして患者さんと関わる

 がん化学療法・緩和ケアチームは、さまざまな専門の職種(医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・理学療法士・放射線技師・臨床検査技師・歯科衛生士)が連携して患者さんの治療や支援を行っています。

 がんと診断されると心に大きなダメージを受け、不安や焦りなどのストレスにさらされる患者さんが多くいます。そのためチームでは、抗がん剤の治療による副作用や、病気によるからだの苦痛、心のつらさを少しでも和らげ、患者さんにとって最善の治療やサポートを検討しています。この検討の場をカンファレンスといいます。カンファレンスでは、患者さんの情報を共有し、多職種がそれぞれ専門の視点から話し合いを行っています。

 また、アドバンス・ケア・プランニングと呼ばれる、患者さんの価値観や人生観などを患者さんとご家族、医療従事者で共有しながら医療・ケアを決定するサポートをしています。

 チームとして患者さんとの途切れのない関わりが大切なことから、カンファレンスでは、治療による苦痛や心のつらさの変化を観察・検討し、より良い治療を提供できるよう努めています。

 患者さんとご家族で、治療や療養についてご希望がありましたら、遠慮なくお伝えください。

(がん化学療法・緩和ケアチーム 薬剤師 橋本 佳典)

健診センター

2023/6

健康診断を受けていますか?

新型コロナウイルス感染症の流行のため、多くの人が感染への不安から通院(検査・治療)や健康診断、がん検診を控える傾向が続いています。

ある民間会社が行った全国的な意識調査によると、「健康診断や人間ドックを控えたい」という回答をした人の割合が、令和2年で50%、令和3年で30%あったと報告されています。受診控えは徐々に解消されつつあるものの、まだ十分とはいえません。

また、がん検診の受診率も伸び悩んでおり、がん診療への影響(発見の遅れ、治療の遅れ)が憂慮されています。(公財)日本対がん協会の調査結果によると、5つのがん検診(肺、胃、大腸、乳、子宮頸(けい)の受診者数について、令和3年度は令和2年度より23.5%増と回復したものの、コロナ流行前の令和元年度と比較すると10.3%下回っています。

健康診断の目的は、自分の健康状態を知り、身体からのSOSをキャッチすることで、病気の予防や早期発見・治療を行うことです。実際に、令和3年度の厚生労働省の調査によると、国内の健康診断での有所見者(いずれかの項目で指摘があった人)は60%を超えています。当健診センターでの健康診断でも、同様に多くの人の所見を見出し、早期治療につなげています。

当健診センターでは、安心安全に受診していただけるよう、換気や消毒など感染防止対策に努めています。自分の健康状態を正しく知り、健康で豊かな生活を維持するために、ぜひ健康診断を受けましょう。

(健診センター長 中谷 中)

臨床検査課

2023/5

乳がんの転移は遺伝子増幅検査で

 乳がんは、女性のがんの中で最も多く、また年々割合が増えており、現在では9人に1人が発症すると言われています。

 かつては乳がんの手術時に、脇の下のリンパ節に転移することが多いため、リンパ節を切除するのが一般的でしたが、腕が上がらない、しびれやむくみが出るといった後遺症の原因となっていました。

 近年は技術の進歩により、がん細胞が最初に流れ着く「見張りリンパ節」と呼ばれるリンパ節を、手術中に素早く検査することでがんの転移の判断が可能になり、転移が確認された場合にのみリンパ節の切除を行うようになりました。

 これまでは、リンパ節を顕微鏡で検査し、その部分にがんの転移がない場合は発見できなかったり、判定には病理医の判断が必要でした。そのため当院では、遺伝子増幅検査により、特定の遺伝子を増幅・検出することで、がんの転移の判定を補助できるようにしました。遺伝子増幅検出装置を使用することで病理医がいなくても判定ができ、リンパ節全体を使用して検査を行うため、より正確な診断ができます。これからも乳がんの検査を安心して受けていただけるよう努めていきます。

(臨床検査課 笠原 祐紀)

放射線技術課

2023/4

MRIを用いた全身のがん検査「DWIBS(ドゥイブス)検査」

MRIを用いた全身のがん検査「DWIBS(ドゥイブス)検査」

 当院ではMRI装置によるDWIBS検査を行うことができます。DWIBSは全身の検査で、がん細胞の全身への広がりを一度に検査することが可能です。

 これまで当院では、PET-CTによるがん検査を行っていました。PET-CTはブドウ糖に放射線を出す物質をつけて、注射により全身に投与します。がん細胞は糖分が好物でこの薬剤を多く取り込むため、薬剤から放出された放射線を検出するとがん細胞がいる場所を画像化することができます。ただPET-CTには放射線の被ばくがあったり、食事や血糖値の影響を受けるなどの問題点があります。

 一方、DWIBSはがん細胞が増えて膨らんでいる状態を画像化します。DWIBSは放射線を使用しないため放射線被ばくの心配はなく、食事や血糖値の影響も受けません。また注射の必要もありません。そして、PET-CTとDWIBSのがんを見つける力は、ほぼ同程度と言われています。当院ではDWIBSを2019年に使用開始し、年間120件以上行っています。DWIBSの画像は経験豊富な放射線科医が診断し、結果を担当医に報告しています。

 PET-CTに代わり皆さんのがん診断に役立てることができると考えています。

(放射線技術課 植田 浩充)

薬剤課

2023/3

薬薬連携(やくやくれんけい)に力を入れています

薬剤課

 薬剤課では、チーム医療の一員として医師の診療をサポートし、患者さんにより良い医療を提供するため、専門的な知識を有する認定薬剤師などの資格を積極的に取得しています。

 現在、外来がん治療認定薬剤師、抗菌化学療法認定薬剤師などの資格を有するスタッフが在籍し、それぞれの分野で専門性を発揮しています。

 最近ではがん治療の進歩に伴い、日常生活を維持しながら抗がん剤治療を行う患者さんが増えています。外来がん治療認定薬剤師は、医師と共働して、抗がん剤の投与量や投与スケジュールを管理するとともに、患者さんに薬の用法やスケジュール、生じる可能性のある副作用をあらかじめ説明します。治療開始後は、外来での治療時に副作用がないかを医師、看護師、管理栄養士とともに観察し、適切な支持療法や栄養療法を提案しています。

 さらに、通院での抗がん剤治療は、自宅での体調管理が重要となるため、地域のかかりつけ薬局に患者さんの治療内容や副作用の状況などを情報提供し、患者さんの体調管理を薬局の薬剤師とともにサポートする「薬薬連携(やくやくれんけい)」の取り組みにも力を入れています。

 今後も専門知識を積極的に取得し、より総合的に患者さんをサポートできる薬剤課をめざします。

(薬剤課 主幹 小澤 一夫)

人工透析室

2023/2

より安全な透析と日々のケアに取り組んでいます

人工透析室

 人工透析室では、腎臓の機能が低下し、自分の腎臓で健康状態を維持できなくなった慢性腎不全などの患者さんに透析治療を行っています。

 透析は腎臓に代わって人工的に体の血液を浄化する療法で、当院では、腕の血管から取り出した血液を透析機器できれいにして体に戻す血液透析を行っています。45人程度の患者さんが、月・水・金曜日の午前と火・木・土曜日の午前の2クールに分かれ、1日3~5時間の透析治療を受けています。

 ここでは、医師、看護師、管理栄養士、臨床工学技士が互いの専門性を生かして協力し、専門知識や技能の維持・向上に努めながら、より安全な透析と日々のケアに取り組んでいます。

 患者さんの体重、血圧、検査データを適切に管理するための支援や、一人ひとりの生活背景や思いに寄り添った看護の提供に努めながら、毎月1回定期的にシャント(透析の際に十分な血液量が確保できるように、動脈と静脈をつなぎあわせてつくった血管)の状態や足のチェックを行い、変化などがあれば早期に見つけられるようにしています。
 透析は生涯続けていく必要があり、患者さんにとって日常生活の一部となりますので、今後とも、それぞれの患者さんがより安心・安全に過ごせるようサポートしていきます。

(人工透析室師長 髙久 幸子)

手術室・中央材料室

2023/1

患者さんにとって安全・安心な手術を

 毎月、手術室では外科、乳腺外科、整形外科の手術を約80件行っています。併設の中央材料室では、院内全体で使用する器材を適正に管理(洗浄・消毒・滅菌)し、安全に提供しています。

 外科・乳腺外科では、がんの手術や胆石症などの良性疾患の手術を行っています。また、整形外科では、脊椎、人工関節(股関節やひざ関節)の手術や、外傷による骨折に対する手術を行っています。

 看護師は、安心して手術を受けていただくために、全身麻酔や脊椎麻酔を受ける患者さんに術前訪問を行っています。術前訪問では医師からの説明の再確認を行い、手術前後の注意点などを患者さんと一緒に確認しています。

 臨床工学技士は、手術で使用する器械の保守や管理、手術中の器機の動作確認などを行っています。

 患者さんにとって安全・安心な手術を受けられるよう、医師、看護師、臨床工学技士など多職種が協力しあっています。手術に関して心配なことなどがありましたら、ささいなことでも構いませんのでお尋ねください。今後も患者さんの不安を和らげ、安心して手術を受けていただけるよう努めていきます。

(手術室・中央材料室 師長 宮川 多映)

地域医療連携室

2022/12

退院後の生活をより良く送ることができるようサポートします

地域医療連携室

 高齢者の中には、長い間入院することで、病気やケガの治療が終了しても入院する前の身体の状態に戻ることのできない人が多くいます。

 「今までどおりの生活ができるのか」、「退院したら、自宅で一人になるけど大丈夫か」といった不安を抱える患者さんも多く、またその家族も、「離れて暮らしているので何かあってもすぐ対応できない」、「仕事があって介護ができない」などさまざまな悩みに直面します。

 そのような時は、地域医療連携室にご相談ください。看護師や福祉に精通した医療ソーシャルワーカーが協力して、院内のスタッフ、地域の介護支援専門員、福祉施設、関係機関などと連携し、自宅への退院や施設への入所など退院後の生活をより良く送ることができるようサポートします。また、転院が必要な場合には他病院との連絡調整を行います。

 そのほか、入院や通院によって生じる悩み事や問題を抱えている患者さん、家族・親族のご相談にも応じ支援を行いますので、お気軽にお声掛けください。

(地域医療連携室 上野 秀徳)

外来化学療法室

2022/11

多職種で連携しながら支援を

外来化学療法室

 がんの化学療法は入院治療から外来治療が中心になってきています。当院でも2011年から、通院しながら治療を受けられる外来化学療法室を設置しています。

 外来化学療法室は、月~金曜日に、ベッド1床、チェアベッド4床の計5床で運営しています。各ベッドにはテレビやテーブルを備え付けているため、点滴治療中にテレビ鑑賞や読書、飲食などができます。

 外来化学療法室では、主に消化器がん(食道、胃、大腸、胆道、すい臓)、乳がんに関して、担当医、外来がん治療認定薬剤師、がん化学療法看護認定看護師、がん病態栄養専門管理栄養士、医療ソーシャルワーカーなどが連携し、チーム医療を行っています。薬剤師は抗がん剤の調剤をはじめ、治療スケジュール、副作用とその対応方法、日常生活の注意事項の説明を行います。看護師は安全、安楽な点滴治療を行い、治療中の患者さんの観察、症状のアセスメント(分析)を行います。また普段どおりの生活をしながら治療ができるよう、日常生活の助言指導も行っています。管理栄養士は患者さんの定期的な栄養評価、栄養指導を行っています。

 外来治療が長期に渡ると、副作用への心配や、経済的なことで悩まれる患者さんがいます。患者さんとその家族が安心して通院治療を継続できるよう、今後も多職種で連携しながら支援をしていきます。

(外来化学療法室長 小川 亜希子)

6階病棟

2022/10

1日でも早く元の生活に戻れるように

6階病棟

 6階病棟は、消化器疾患の患者さんが入院・治療を行う病棟です。私たちは、患者さんが安全に治療を受けて、安心して早期に退院できるよう支援を行っています。治療は消化器内科と消化器外科の専門医が担います。消化器内科では、内視鏡による治療を中心に行っています。消化器外科では悪性腫瘍をはじめ、ヘルニア、胆石などの手術、腹部外傷や腸穿孔などの急性腹症の緊急手術に対応しています。また、悪性疾患などで内視鏡での治療が困難な場合には、速やかに外科へ移行し外科治療を行っています。

 また、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士、ソーシャルワーカーがそれぞれの役割を発揮しながら多職種で連携を図り、チーム医療を行っています。近年は基礎疾患のある高齢の患者さんの増加もあり、術後の合併症予防のため、早期離床がとても重要になっています。このため、患者さんの闘病意欲が向上するよう励まし、1日でも早く元の生活に戻れるよう看護師が付き添い、痛みのコントロールなどを行いながら、離床を支援します。

 患者さんの中には、突然の手術や入院で、退院後の生活に不安を感じる人もいるため、私たちは患者さんの状態に応じた退院支援を心がけています。これからも患者さんとご家族の心情に寄り添い、患者さんにとってより良い医療、看護を提供することを第一に考えていきます。

(6階病棟看護師 森 郁世子)

訪問看護ステーション

2022/9

週に1~2回のペースでご自宅を訪問

訪問看護ステーション

 当院では訪問看護ステーションを併設しており、看護師が患者さん宅を訪問し、主治医から指示された医療行為や必要なケアと指導を行っています。
 対象は当院への通院が困難な患者さんやクリニック(開業医)の先生から依頼があった患者さんなどで、現在、およそ50人を訪問しています。

 主治医から訪問看護の依頼を受けたら、主治医と相談し、担当ケアマネージャーや関係職種と連携を図りながら、患者さんの状態に応じた在宅でのケア内容を考えます。また、患者さんやご家族の要望にできる限り対応するとともに、不安やストレスが和らぐようお手伝いします。

 週に1~2回のペースでご自宅を訪問し、健康状態の観察、清潔ケア、排せつ介助、床ずれ予防、服薬指導やチューブ交換などを行っています。
 安心して在宅で療養していただけるよう、24時間連絡可能な体制をとっており、不安などがあればいつでも電話を受け、必要に応じて訪問を行います。

 今後とも患者さんやご家族に寄り添い、安心と安全を第一に考えた心のこもったケアを提供できるよう、取り組んでいきます。

(訪問看護ステーション管理者 中島 明美)

5階病棟

2022/8

化学療法や緩和ケアを行う腫瘍内科

5階病棟

 5階病棟は、腫瘍内科を中心とした内科病棟です。

  腫瘍内科では、抗がん剤治療を中心とした化学療法や緩和ケアなどを受けている患者さんが入院しています。

 化学療法を受けている患者さんの中には、入退院を繰り返し長期に渡って治療を行う人もおり、安全な化学療法の実施はもちろん、副作用への対応、情報提供、指導などを病棟薬剤師と共に行っています。また、入院から外来へ移行する際も、5階病棟スタッフが継続して化学療法の実施を担当しています。

 緩和ケアでは、痛みをはじめとしたさまざまなつらい症状を抱えた患者さんに対して、多職種によるカンファレンス(会議)を行い、つらい症状を和らげるための方法を検討しえいます。ターミナル(終末)期の患者さんには、その人らしい生活が送れるよう支援しています。

 また、気持ちのつらさや悩みを抱えている患者さんとそのご家族の気持ちに寄り添う看護も大切であると考えています。体調が整い、患者さんとご家族が在宅療養を希望される場合は、医療ソーシャルワーカーや訪問看護師、ケアマネージャーなどと連携を取り、退院支援を行っています。

 住み慣れた地域で安心して治療を受けられるよう、退院後も引き続きサポートを行っています。

(上野総合市民病院 5階病棟師長 小川 亜希)

感染防止対策室

2022/7

病院を挙げての感染対策

感染対策室 感染防止対策室の業務は、さまざまな感染から患者さんやそのご家族、病院職員、そして病院に出入りするすべての人を守ることです。

 現在、特に新型コロナウイルス感染症が、重要な取り組み対象となっています。この感染症は2019年に発生が確認されてから3年近く経過しますが、ウイルスが変異を繰り返し、今も多くの人が感染し、医療機関や高齢者施設、学校などではクラスター(集団感染)が発生しています。

 当院ではこれまでも厚生労働省が定めるガイドラインに基づく感染予防対策を行ってきました。最近は、新型コロナウイルス感染症の主な感染経路とされる飛沫感染や接触感染を防ぐため、換気や消毒などの対策を一層強化しています。

 また、職員が病院の外で感染するリスクもあるため、院外における活動も含めた感染対策の独自ルールを定め、全職員が一丸となって感染防止に取り組んでいます。

 なお、職員だけでなく、患者さんをはじめ来院されるすべての人に、マスクの着用、手指消毒、体温測定を行っていただいています。皆さん、ご理解とご協力をお願いします。

 今後も地域の皆さんに安心して受診していただけるように、病院を挙げて感染対策に取り組んでいきます。

(上野総合市民病院 感染防止対策室 副室長 前田 きよ美)

4階病棟

2022/6

肺炎のチーム医療について

 当院の4階病棟には内科・循環器内科・脳神経内科・脳神経外科の患者さんが入院しています。

4階病棟
チームカンファレンスの様子

 2021年度の当病棟の入院患者数693人のうち、肺炎の患者さんは292人で全体の42.1%です。さらに誤嚥性肺炎の患者さんは117人で、肺炎患者の40.0%を占めています。

 今回は、2021年度から取り組んでいる肺炎のチーム医療についてご説明します。

 多職種(医師・看護師・言語聴覚士・歯科衛生士・管理栄養士・理学療法士・放射線技師・臨床検査技師)で週1回チームカンファレンス(会議)をしています。患者さんの情報を共有しながら、症状の改善、再発予防はどのようにすれば良いか、早期退院に向けて何が必要かなどを話し合っています。また、それぞれの職種が意見を出し合い、必要な介入を検討し、肺炎ハンドブックを作成しました。

 入院後は治療と並行して早期から言語聴覚士による嚥下機能評価を行い、歯科衛生士による専門的な口腔ケアをします。また、看護師による日々のケア、看護補助者による介護支援サポートを行い再発予防に努めています。寝たきり状態になると全身の筋力が低下してしまい、嚥下機能にも影響します。入院時にはすでに嚥下機能が低下して改善が難しい場合もありますが、肺炎チームの介入もあり、食べることができるようになる患者さんも多く、退院に結び付いています。

 食べる楽しみを回復できるように、そして1日でも早くご自宅に帰れるよう、今後もチームでケアの向上に取り組んでいきます。

(上野総合市民病院 4階病棟師長 野殿 裕子)

医療安全管理室

2022/5

医療事故や医療過誤を防ぐための対策を

 医療機関には、医療事故や医療過誤を防ぐための対策を講じる義務があります。このため当院では医療安全管理室を設置し、院内で行われる医療活動に対して評価、助言などを行っています。

 労働災害の統計から導き出された「ハインリッヒの法則」では、1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300のヒヤリハット事例(ヒヤリとしたりハッとした状況)があるとされています。このため、重大事故の防止のためには、ヒヤリハットの段階で対策をとることがとても大切です。

 当院では、各部門の日々の業務におけるヒヤリハット事例が、インシデントレポートとして医療安全管理室に報告されます。そして、事例が起きた背景を客観的に評価・分析し、再発防止につなげる対策を立案し、周知しています。

 インシデントレポートは「少ないから良い」とは評価されません。事例の積み上げがないと業務改善が行われず、安全確保につながらないからです。そのため、当院では、積極的な報告を促し、医療事故などの防止に努めています。

 また最近では、医療安全の推進には患者さんの参加が重要とされています。

 取り組みの一つとして、当院では医療行為前に氏名と生年月日の確認をしています。すべての医療行為は患者本人であることの確認から始まります。決してお顔を忘れて尋ねているわけではありませんので、今後とも安全な医療の提供のため、ご協力をお願いします。

(上野総合市民病院 医療安全管理者 塚本 奈津子)

地域包括ケア病棟(西館3階)

2022/4

社会復帰に向けた医療や支援を行う

 地域包括ケア病棟は、一般病棟で病状が安定した患者さんへ、社会復帰に向けた医療や支援を行う病棟です。

地域包括ケア病棟(西館3階)

 当病棟には、在宅復帰に向けてリハビリテーションが必要な人、入院治療により症状は改善したがもう少し経過観察が必要な人、自宅の改修や福祉用具を設置するなど、在宅復帰に向けて療養準備が必要な人や、自宅での生活に不安があり施設入所を検討中の人などがいます。

 入院治療の後、患者さんが自宅や地域に戻り安心して生活を送っていただくために、医師・看護師・薬剤師・リハビリスタッフ・管理栄養士・社会福祉士などがチームで関わり、退院に向けた支援を行っています。

 また、患者さんの状態に応じて、排せつケアや着替えの方法、吸引、経管による栄養摂取、車いすへの移乗の方法など、ご家族に対して在宅介護に必要な技術の指導も行っています。

 退院前には必要に応じて、ご家族、ケアマネジャーや訪問看護師、訪問介護士、介護施設職員などと話し合いを行い、患者さんやご家族が望む形での退院を可能な限り支援しています。また、退院後のケアもサポートしています。

(上野総合市民病院 地域包括ケア病棟師長 稲森 由佳)

健診センター

2022/3

定期的な健診をお勧めします

 伊賀市健診センターは平成19年に伊賀市の健康推進施策の一環として整備されました。年々増加する高血圧、高脂血症、糖尿病、心疾患、脳疾患などの生活習慣病の予防やがんの早期発見、早期治療の取り組みを進めるための拠点施設で、年間約8,700人の人間ドックや生活習慣病予防健診を行っています。

 生活習慣病は、自覚症状が出た頃には、病状が進行していることが少なくないため、早期に体の異常を発見し、早期治療につなげることが大切です。また生活習慣を見直し改善することで、病気の予防につながります。

 健診センターは隣接する市民病院と連携しており、健診で異常が発見された際には、スムーズに二次検査に移行することができます。二次検査の予約も健診センターで受け付けており、共通の診断・医療機器を使用していますので、診断・医療機器の差異による微妙な誤差はなく、異常所見に的をしぼった精度の高い二次検査を行うことができます。

 ぜひ定期的に健診を受けられることをお勧めします。

(上野総合市民病院 健診センター 保田 泰宏)

伊賀市健診センター
伊賀市健診センター

栄養管理課

2022/2

活き活きとした生活を送っていただけるように

栄養管理課 当院の栄養管理課には、糖尿病療養指導士、病態栄養認定管理栄養士、栄養サポートチーム専門療法士、臨床栄養代謝専門療法士(がん繊毛療法士)、がん病態栄養専門管理栄養士、等の資格を有するスタッフがおり、それぞれの疾患に最も適した栄養療法を行えるよう努めています。

 皆さんは「栄養」についてどれくらい関心をお持ちですか?高齢の方や、多くの疾患を併せ持っている患者さんは低栄養に陥りやすく、ウイルスや細菌などによる感染性の疾患に一旦罹(かか)ると一気に重症化してしまうため、免疫力がとても大切です。そのためには、栄養が不足しないように予防することや、食べて腸を使い腸管の免疫機能を活発化させておくことが重要です。

 当院には、がん治療・緩和ケア、心不全をはじめ、誤嚥性肺炎・栄養サポート、整形外科疾患、消化器疾患など、診療科ごとに7つのチームがあり、私たち管理栄養士もチームの一員として入院・通院の患者さんが日頃から身体の栄養状態を高め、かつ健康を維持できるような、食事栄養管理と栄養指導に取り組んでいます。

 具体的には、栄養の大切さを知ってもらい、どういった食べ方がよいか、その上で栄養摂取が不足している場合の栄養補助食品の上手な活用方法の提案をいたします。また、口から食べられない場合の胃ろうからの栄養の内容について検討しています。

栄養管理課
栄養管理課
栄養管理課

 患者さんは長年の食習慣や、ひとり暮らしやご家族構成などにより、食環境もさまざまです。そのため、患者さんの病態を理解しつつ、できるだけ患者さんお一人おひとりの状況に合った栄養指導を心がけています。そして何よりも、患者さんやそのご家族自らが、明るい気持ちで、前向き意欲をもって療養生活が送れる指導を心がけています。

 患者さんから「食べられるようになり意欲がでてきた」「色々と食事のことが聞けて安心した」「教えてもらったようにちょっと気をつけたら血糖値が下がった」など、日々患者さんやご家族から頂く言葉が、とても励みになっています。

 これからも、入院された患者さんが、元気に食べて退院していただき、活き活きとした生活を送っていただけるよう、栄養指導・栄養サポートの実践に努めてまいります。

(上野総合市民病院 栄養管理課 管理栄養士 白井 由美子)

リハビリテーション課

2022/1

整形外科手術後のリハビリテーション

リハビリテーション課 当院では、病気や怪我の後の運動機能の回復を図り、日常生活動作が再びできるように手術後の早期リハビリテーションを実施しています。

 疾患や手術の特性に合わせたプログラムを実施するとともに、多職種で協力し、個々の患者さんが抱えている問題を解決しながら進めることを大切にしています。

 整形病棟では平日の朝に、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、社会福祉士、作業療法士、理学療法士らが集まり、新規の入院や手術前後の患者さんについての情報共有、病棟での可能な動作や運動の確認などを行っています。

 ここで1つ、お聞きします。手術をした場合、何日目からリハビリを始めると思いますか?数日後?1週間後?
——答えは手術の翌日です。私たちは手術翌日から体調をみながら動作能力の確認を行います。できることがあればすぐに医師・看護師に報告し、病棟でできることが増えていくようにしています。

リハビリテーション課 当課には伊賀地域で1人しかいない日本理学療法士協会 運動器理学療法専門理学療法士が在籍しており、整形外科疾患や手術、術後管理方法などリハビリテーションに関連する内容について病棟看護師と勉強会を行い、患者さんに提供できる運動・動作練習、指導内容の向上に努めています。

 骨折などの外傷に加え、当院で力を入れている脊椎手術や人工股関節・膝関節手術にも対応し、早期の社会復帰を支援しています。

(上野総合市民病院 リハビリテーション課 理学療法士 田中大介)

整形外科病棟(本館3階)

2021/12

整形外科病棟(本館3階) 整形外科病棟は病室が45床(個室15室、2人部屋4室、3人部屋2室、4人部屋4室)あり、20名以上の看護師がチームに分かれ、3交替制で看護を行っています。

 病棟では、大腿骨骨折をはじめ、脊椎疾患や関節変形性疾患などによる治療を必要とする患者さんが多く入院されており、年間約500件の手術を行っています。患者さんの年齢層は10代から100歳までと幅広いことも特徴であり、転倒リスクに応じて転倒転落予防のケアを積極的に行っています。

 患者さんは突然の手術や生活の変化により心身に様々な影響が生じることが多くあります。そのため、日々、「チーム医療」を大切にし、医師をはじめ看護師、薬剤師、理学療法士、社会福祉士など多職種が意見交換を行い、患者さんの回復を支援しています。また患者さん一人ひとりの心に寄り添い、安心して入院生活が送れるよう個別性のある看護を目指しています。

 退院にむけては、入院時より退院後の生活を見据えた退院指導を行う他、患者さんやご家族の抱える悩みや思いを共有し、相談や情報提供・地域との連携を図っています。今後も苦痛の把握・共有に努め、患者さんが笑顔で退院できるようサポートしていきます。

 入院中に少しでも不安や悩みがあれば、お気軽にご相談ください。

(上野総合市民病院 整形外科病棟 看護師 西岡由美)

臨床工学課

2021/11

臨床工学課の紹介

臨床工学課 当院の臨床工学課には9人の臨床工学技士がいます。臨床工学技士は、1987年に制定された国家資格です。今では医師や看護師とともにチーム医療の一員として欠かすことのできない医療技術者となっています。
 我々臨床工学技士が当院でどのような業務を行っているかをご紹介します。

血液透析業務

 人工透析装置や透析液供給装置、水処理装置の操作や保守点検を行っています。また、通常の透析治療の他に腹水濾過濃縮再静注法等にも対応しています。

臨床工学課カテーテル血管造影検査業務

 カテーテル血管造影検査において、使用する生体情報モニターの準備や操作、カテーテルの準備等、検査が安全かつスムーズに行われるようサポートをしています。

手術室業務

 手術にて使用する医療機器の操作や保守点検を行っています。また、直接介助業務も一部行っています。

医療機器中央管理業

 高度医療機器をいつでも安全に使用できるように保守点検を行い、ME機器中央管理室より一括貸出を行っています。
 また医療スタッフ向けに、医療機器の安全使用に関する院内講習会等も行っています。

 医療技術は日進月歩で進化を続けています。これからも高度な医療技術を提供し、病気と闘う患者の皆さんの支援ができるよう、日々新たな知識の習得と技術の向上に努めます。

臨床検査課

2021/10

臨床検査課の紹介

 当課では色んな分析装置を用いて、さまざまな項目の検査を行っています。

 検査には、病理検査、微生物検査、血液生化学検査、一般検査、輸血検査などがあり、血液や尿、喀痰、組織、細胞など患者さんから採取あるいは排泄された検体を分析する検体検査と、心電図検査、ホルター心電図、心臓超音波検査、呼吸機能検査、ABI(動脈硬化の検査)や脳波など直接患者さんに接して行う生理(生体)検査があります。

 今回はこれらの一部をご紹介します。

輸血関連業務

臨床検査課の紹介

 主に血液型検査、不規則抗体(ABO血液型にみられる抗Aおよび抗B抗体以外の抗体)のスクリーニングを行っていますが、これらの他に血液製剤の発注、保管、適合検査、払出し、輸血実施後副作用の管理などを当課で一元管理しており、輸血療法委員会で医師、看護師、薬剤師と共に安全で適正な輸血のための検討を重ねています。

新型コロナウイルス検査

 昨年10月から新型コロナウイルス抗原定量検査を実施しています。抗原定量検査は抗原定性検査(簡易キット)の40倍の感度があるとされ、ウイルス量が数値化できるため、感染の有無はもちろん、経過観察に有用です。検査は主に新規入院患者さんや内視鏡検査前の患者さんを対象に1日30件程度実施しています。感染防御認定技師を中心に院内感染対策チームと協力し院内感染防止に努めています。

採血業務

 採血は看護師の業務と思われがちですが、臨床検査技師も採血する事が許されています。看護師と協力し病棟と外来で採血を行っています。病棟採血に出向く事により患者さんの状態を知ることができ、検査データを確認・報告するうえでの考え方など視野が広がりました。

これからも・・・

 チーム医療の一員として多職種と連携し、臨床に役立つ検査結果を迅速かつ正確に報告することを心掛けています。

(上野総合市民病院 臨床検査課 末永 裕美)

外来・救急

内視鏡検査について

2021/9

 内視鏡室では、年間約3,000件の内視鏡による検査・治療を実施しています。

 上部内視鏡検査は一般的な胃カメラのほか、突然吐血した場合の緊急内視鏡止血術や魚の骨が刺さったり、薬のシートを飲み込んだりした際の異物除去術を実施しています。
 特に、急な吐血に対する対応は緊急処置を要するために、医師・看護師が待機体制を取っています。

 下部内視鏡検査では便秘や便潜血陽性の方の二次検査を行い、ポリープが見つかった場合、ある程度の大きさであれば早期の切除をお勧めしています。出血のリスクを考慮して1泊2日の入院をして頂き、ポリープを切除しています。

 EUSと呼ばれる超音波内視鏡検査では、直接肉眼では観察出来ない病変や腫瘍の深さなどがわかり、膵臓や胆道系の病変の診断に役立ちます。

 胃カメラと聞いて、怖いとかしんどいと思われる方がほとんどではないでしょうか。苦しそうな検査だからと敬遠されがちですが、当院では医師とともに消化器内視鏡技師免許を取得した2名の熟練看護師を配置しています。内視鏡検査について不安な点やご質問などがあれば、お答えいたします。

 検査・治療がスムーズに進むよう、また患者さんの不安が少しでも軽減されるよう呼吸方法を優しくご指導させていただき、介助に当たっていますのでご安心ください。検査中はリラックス効果を高めるために音楽を流しています。

 消化器肝臓内科外来は、毎日2名の医師が診察をしています。上部内視鏡検査では、口からだけではなく、鼻からの内視鏡検査も可能ですので、予約の際に鼻からの検査を希望することを、必ず医師にお伝えください。

 昨今の新型コロナウイルス流行により、上部内視鏡検査を受けていただく際は、当日すべての患者さんに新型コロナウイルス抗原定量検査をうけていただき、その結果を確認したうえで実施しています。

 消化器系に何らかの症状があり、ご心配な方はぜひ当院にお越しください。

 病気は早期発見が一番大切です。少しでも気になることがあれば、躊躇することなく検査を受けていただきたいと思います。

放射線技術課

CT画像を用いた画像等手術支援の取り組みについて

2021/8

 当院では、外科手術や整形外科の手術において手術前にCT撮影検査を行い撮影した画像から3D画像等を作成し患者様への説明時や手術中にも確認出来るようにしています。

 このことを画像等手術支援と言い、外科の手術では取り除く腫瘍の形状や場所、腫瘍に付随する栄養血管とよばれる動脈および静脈の走行や、周囲のリンパ節の腫脹と体幹部の骨格像をそれぞれ作成し、同時に3D画像で表記します。また、整形外科の手術では骨折部位の骨の3D画像を作成し骨折の形状や手術に用いる金属(固定具)の形状およびサイズ選定やスクリューの長さや傾きおよび角度等を測定し確認することができます。

 当院の放射線技術課のスタッフは、当院で外科的手術を受けられるすべての患者様が安全に手術を受けられるように、正確な位置情報と的確な病状確認ができる画像を提供できるよう訓練と教育を行っています。

CT装置で撮影した腹部の厚さ0.5mm

3D画像構築

〈実例紹介〉

 左の図がCT装置で撮影した腹部の厚さ0.5mmの元画像です。この元画像900枚程度を用いて3D画像構築を行ったものが右の図になります。赤色が腫瘍に付随する動脈血管で青色が静脈血管。緑色が切除する腫瘍部位で、リンパ節の腫脹は橙色で表記しています。

(上野総合市民病院 放射線技術課 後藤末成)

 

薬剤課

2021/7

 病院の薬剤師は医薬品管理、調剤業務に加え、病棟業務を担います。上野総合市民病院では、10人の薬剤師と助手2名で入院時から在宅療養までシームレス(途切れることなく)に薬剤管理を行い、正確な調剤及び情報提供で診療(医療と看護)を支援しています。

 すべての病棟に薬剤師を配置し、入院時には患者さんが日常に飲まれているお薬を調べ、医師に情報を提供し、継続して使用するお薬については、配るためのセッティングを行い、看護業務の軽減とともに正確な投与を目指しています。この際、重複投与などの適正使用に関する情報提供を行う等、ポリファーマシー(多剤服用)に関する取り組みも行っています。入院中は、使用するお薬について患者さんへの説明や効果、副作用のモニタリング等、薬剤管理を実施しチーム医療の一員として情報を共有し医療の質向上に取り組んでいます。

 また、退院時には、今後お飲みいただくお薬についてや入院中のお薬の使用状況などを記載した「薬剤情報提供書」を作成し、患者さんご自身やご家族等が薬のことをよく知り、理解して治療に参加していただけるよう日々努力しています。

  最近の取り組みとして、①がん治療、特に外来がん化学療法時の開局薬剤師への情報提供、②心不全による増悪・再入院予防、そして生活の質(QOL)の改善を図ることを目指し、チーム医療に参画しています。いずれも在宅での継続した治療管理(薬剤管理)による医療の質向上が目的です。このため、開局薬剤師の皆さんと毎月「薬薬連携研修会」を行い、顔の見える関係を構築し、在宅療養における「かかりつけ薬局」での患者さんの薬剤管理を支援するとともに、入院時から在宅療養までシームレスな医療の展開を目指しオール薬剤師で取り組んでいます。

(上野総合市民病院 薬局長 福森和俊)