理念
チーム医療の一翼を担い、個々の患者さまの症状に応じた適切な治療食の提供と、
病態に合わせた栄養指導を実践する
業務概要
- 栄養管理・給食管理
- 栄養・食事指導
- チーム医療への参画
患者さまの栄養状態を評価し、患者さまの栄養状態の改善の一助となるよう積極的に栄養管理にとりくんでおります。
また、食事は患者さまが入院生活を送るうえでの大きな関心ごとであることから、信頼され喜んでもらえるよう給食サービスの向上を図っております。
外来化学療法室での取り組み
がん治療においては、治療とたたかう体力が必要であり、その基本となるのが「栄養」ですが、患者さんの多くは、副作用による体調不良により、治療を継続できなくなるということがおこります。当院では定期的に
- 情報収集
(食事摂取量、体重減少、日常生活、食事に関する症状) - 身体計測(筋肉量、浮腫など)
- 血液検査データ
以上の評価法にて栄養状態を評価し、副作用対策としての食事メニューアドバイスや、欠乏しやすい栄養素を補う栄養補助食品の提案を行うことで、患者さんが栄養状態をより良い状態で保ち治療継続に貢献できるよう、多職種と連携し取り組んでおります。
入院時のお食事について
食事の種類
一般食・・・ | 特別な食事療法を必要としない食事です。 (常食・軟食・五分粥・流動食・嚥下食など) |
特別食・・・ | 各種病態に応じた食事です。 (糖尿食・腎臓食・心臓食・肝臓食・膵臓食・脂質異常症食・胃術後食など) |
配膳時間
朝食:8時 昼食:12時 夕食:18時
適温給食
食事は温冷配膳車による配膳を行っています。温かいものは温かく、冷たいものは冷たくお届けできるように取り組んでいます。
行事食
季節や歳時記に合わせた行事食を、
月ごとにカードを添えてお出ししています。
1月 お正月・・・おせち料理
2月 節分・・・太巻き・福豆
3月 ひな祭り・・・ちらし寿司・ひなあられ
4月 桜の開花・・・お花見御膳
5月 こどもの日・・・ミートローフ・こどもの日ゼリー
6月 梅雨・・・梅雨御膳
7月 七夕・・・七夕そうめん・七夕ゼリー
8月 残暑見舞い・・・穴子のちらし寿司
9月 敬老の日・・・赤飯
10月 上野天神祭り・・・天ぷら・ようかん
11月 勤労感謝の日・・・きのこご飯
12月 クリスマス・・・照り焼きチキン・ケーキ
他にも季節感のあるお食事を取り入れ、見た目にも喜んでいただける食事を目指しています。


個別対応食
治療などにより食べにくい、飲み込みづらいなど、入院中の食事でお困りの方には、管理栄養士が病棟にお伺いし食事の調整をいたします。
特に、化学療法等の影響で食欲が低下した患者さまには、栄養等を考慮せずまずは食べられることを優先し、患者さまの嗜好等を重視して提供しています。

栄養・食事指導(入院・外来)について
食事療法や生活習慣の改善が必要な方に、家庭での実践に向けた指導をお受けしています。
管理栄養士は糖尿病療養指導士ほか専門職の資格を取得し、皆さまの継続した実践のお手伝いができるよう日々業務に努めています。
栄養指導をお受けになるには、医師による依頼が必要です。受診されている担当医もしくは、入院されている病棟の看護師にお声がけ下さい。
栄養指導(個別):
月〜金曜日(9:00〜16:00)- 指導場所:栄養指導室(1階・地域医療連携室横)
業務実績
給食実施状況
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
|
一般食 |
84,132 |
97,487 |
108,504 |
特別食 |
63,080 |
62,013 |
53,842 |
合計 |
147,212 |
159,500 |
162,346 |
個別栄養指導算定件数(実施件数)
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
|
外来 |
828(834) |
790(798) |
745(734) |
入院 |
1,604(1,646) |
1,494(1,536) |
1,121(1,109) |
合計 |
2,432(2,480) |
2,284(2,334) |
1,866(1,854) |
栄養情報連携料算定件数
2024年度 |
|
合計 |
342 |
スタッフ・認定資格
スタッフ
課長 | 白井 由美子 |
管理栄養士 | 4名(会計年度職員2名) |
学会活動・認定資格
日本栄養治療学会 学術評議員 | 1名 |
栄養サポートチーム専門療法士 | 2名 |
栄養治療専門療法士・がん専門療法士 | 1名 |
病態栄養認定管理栄養士 | 2名 |
がん病態栄養専門管理栄養士 | 1名 |
日本糖尿病療養指導士 | 1名 |
三重県糖尿病療養指導士 | 1名 |
介護支援専門員 | 1名 |
学会発表(2019-2025)
- 外来がん薬物療法における“食”に注視した有害事象対策の意義
白井由美子ほか、第40回 日本栄養治療学会 2025.2(横浜) - 大腿骨近位部骨折患者におけるGNRIを用いた入院時栄養状態が在宅復帰率に及ぼす影響の検討
東沙季ほか、第28回日本病態栄養学会 2025.1(京都) - 化学療法がん患者を対象としたEPA含有栄養補助食品摂取と炎症状態に関する有用性の検討
白井由美子ほか、第27回 日本病態栄養学会 2024.1(京都) - がん悪液質を早期発見するためのチーム医療:「話す・聴く」ことから始める栄養士の介入
白井由美子、第38回 日本臨床栄養代謝学会 2023.5(神戸)学術セミナー - 炎症蓄積を制御する漢方薬の効果~栄養指標と炎症指標に着目して~
白井由美子ほか、第24.25回 日本病態栄養学会 2022.1(京都)シンポジウム - がん悪液質に対するNutrition Specialist:その使命と役割
白井由美子、第24.25回 日本病態栄養学会 2022.1(京都)共催セミナー - 大腿骨近位部骨折患者における術後食事摂取量と筋肉量の変化
東沙季ほか、第24.25回 日本病態栄養学会 2022.1(京都) - がん患者に対する、高たんぱく質・EPA含有栄養補助食品の重要性調査
白井由美子ほか、第6回日本がんサポーティブケア学会 2021.5 - がん患者に対する魚油の抗炎症効果の検討
白井由美子ほか、第36回日本臨床栄養代謝学会 2021.8(横浜) - がん悪液質への栄養サポート~炎症着目したケア~ 炎症を評定とした栄養介入の実際
白井由美子、第35回日本静脈栄養学会 2020.2(京都)学術セミナー - 集学的医療の一環としての在宅療養支援入院プログラムの導入
白井由美子ほか、第34回 日本静脈経腸栄養学会2019.2(品川)
共同研究
【三重県ライフイノベーション特区事業(医福食農連携推進環境整備事業)】ほか
- 森永乳業株式会社「EPA含有栄養補助食品が化学療法中のがん患者の炎症状態に与える影響の検討-後ろ向きコホート-」2021.3-2023.3
- 森永乳業株式会社「がん患者の嗜好性に関する調査」2020.4-2020.9
- 森永乳業株式会社「癌患者を対象としたEPA高含有魚油の抗炎症作用に関する探索的研究」2017.11~2019.12
- 味の素株式会社「がん通院患者の食事支援システムの開発」2016.1~2018.1
- 井村屋介護食品開発推進協議会 「高齢者に対する高カロリー豆腐の有用性の検討」2014.11~2015.11
主な著書(筆頭著書)
- 白井由美子、奥川喜永.
がん悪液質と栄養療法. 栄養-Trends of Nutrition .39(1):2024,pp25-32 - 白井由美子.
外来がん化学療法と栄養. 栄養-Trends of Nutrition .35(2):2020,pp83-89 - 白井由美子、三木誓雄.
大腸がん. 鷲澤尚宏編. がん患者の栄養療法と食事サポート .メディカ出版、大阪、2018、pp48-55