キャンサーボード開催について (12/2)

2016/12/13

がん診療連携推進病院の指定を受けている当院では、がん患者さんの病態に応じたより適切ながん医療の提供ができるように、毎月1回、医師、看護師、薬剤師、検査技師、栄養士、ソーシャルワーカーなどの多職種の医療スタッフが参集し、がん患者さんの診断や治療方針を検討しています。

【開催報告】 Cancer Board No18

 

第18回 Cancer Board

  1. 製品説明
    「ベクティビックスの効能効果、副作用と対策について」  
     ベクティビックスに関する以下の3つの点について解説された。
    ① ベクティビックスの効能効果・作用機序について
    ② ESMO consensus guidelines から治療アルゴリズムについて
    ③ 皮膚障害に対するスキンケアについて
  2. ミニレクチャー
    「消化器がんについて」    光山医師
     消化器がん(胃、食道、大腸)について、早期発見のための検査から内科的治療について解説された。
     最近の研究により、胃癌の発現はヘリコバクターピロリ菌が99%程度関連しており、除菌をすることで、3〜4割の発症を防ぐことが出来る。ピロリ菌の検査は5種類あり、胃カメラをうけた後、尿素呼気法で確定診断し、治療することが一般的である。治療は3種類の薬剤を1週間内服する。早期胃癌の治療にはESDという方法があり内視鏡的に切除することが出来る。
     食道癌は酒やたばこ、辛い食物の摂取といった生活習慣と関連が強く、早期発見には、カメラをうけることが一番有効である。発見された時には進行している場合も多く、転移しやすく、手術侵襲も大きいため、治療の難しい癌である。
     大腸癌は、ポリープから癌へと進行する場合があり、ポリープを早期発見し、切除することが重要である。早期発見により治癒する癌となってきている。
  3. 副作用報告
     小澤薬剤師より、mFOLFOX6療法後に高アンモニア血症による意識障害を起こした症例について報告された。患者は、69歳の男性で直腸癌、多発肝転移のため、術前化学療法として、BV+mFOLFOX6が施行された。1コース目は80%doseで行われ、軽度の嘔気のみで他に問題はなかった。2コース目は同レジメンが90%doseで行われ、5-FUをインフューザーポンプに充填し、午後3時に帰宅された。帰宅後、翌日より嘔気が強くなり、夜間には手足の震えが現れ、その後意識消失した。
     翌朝、緊急入院となり検査の結果、高アンモニア血症による意識障害と診断され、アミノレバンが点滴され、症状は翌朝には改善した。5-FUによる高アンモニア血症は、文献上では、5〜9%の頻度で生じるとの報告もあり、注意が必要な副作用である。
  4. 地域がん登録の入力状況について
  5. その他
    ・次回開催予定日:平成29年1月13日(金)15時より
     次回は、神経内科、北原医師によるミニレクチャーと田中光司医師からの症例検討を予定しています。