病院長のあいさつ

三木誓雄院長

Like a Rolling Stone

これは1960年代にボブ・ディランが発表した彼の代表曲で、「A rolling stone gathers no moss:転石、苔むさず — 落ち着きなく動いてばかりいると苔も生えない、すなわち職を変えてばかりいると金持ちにはなれない」というイギリスの諺を引用した曲です。実際、彼と同時期にイギリスで生まれたRolling Stonesは、優等生のBeatlesに対して「ならず者達」と称される存在でした。しかし、最近になって、この諺は「活発に動いていないと苔が生えてしまう、すなわち常に活動している人は新鮮で沈滞しない」という意味として理解されるようになりました。

私たちの病院は1955年に上野市(現:伊賀市)に誕生し、60年近く伊賀地域の中核病院として地域医療を担ってきました。過去の記録を繙くと1990年代が最も隆盛を誇っていた時期のようです。しかしその後、地域医療に携わる医師の減少の煽りを顕著に受け、2005年以降は下降の一途を辿ってきました。2011年に私が赴任し、最も驚いたことは、私の専門でもある外科医療が1990年代初期のころのものとほとんど変わっていないことでした。そして着任以降、止まった時計のねじを巻くことが私の仕事となりました。2年経ち、やっとねじを巻き終え、さらに針を現代に進めたのが今であると言えます。本年3月1日に三重県に指定していただいた、三重県がん診療連携推進病院にしても、地域性を考えれば、本来なら10年前に「がん診療連携拠点病院」としての取得を目指すべきでした。

「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である」これはダーウィンの言葉です。私たちは今やっと、スタートラインに立てたところです。これまで、忘れてきた変化を一気に取り戻すことは、多くの痛みを伴います。しかし、その痛みを乗り越え、変化を取り戻すことが地域医療を担う者としての義務であるといえます。私たちは「ならず者」ではなく、変化を続ける者としての「Rolling Stones」でありたいと思います。

院長 三木誓雄